EGGSTONE · Uncrack Engine · 生豆データ分析レポート
Tanzania Kanji Lalji Washed
生豆データ分析エンジンに基づくレポート
分析 EGGSTONE Uncrack Engine
対象 Tanzania Kanji Lalji Washed
比較基準 タンザニア国内平均(化学成分)
指標 6項目のTaste Potential · 16種の化学成分 · 6種のフレーバーノート
本レポートは、生豆を客観的に理解するための分析データ(Taste Potential・化学成分)です。
専門的な化学用語に詳しくなくても読み進められるように解説し、後半では「どうやってコーヒーのポテンシャルを引き出すのか」という実践的な焙煎・抽出のポイントにつなげています。
1この生豆を一言で表すと
One-line summary
ボディとアロマよりも酸味・フレーバー・甘さが際立つ、明るくクリーンなウォッシュトの生豆です。
明るくジューシーな酸味、豊かなフレーバー、良好な甘さと、強みは明確です。シトラスやフローラルを軸としたクリーンなカップに仕上げることで、この豆本来の個性が素直に表れます。
軽やかなボディと穏やかなアロマは、ライト〜ミディアムローストとフィルター抽出によって「クリーンさ」という長所へ転換できます。
明るくクリーンな個性がはっきりした生豆です。
酸味 8.4 · 強み
フレーバー 7.1 · 強み
甘さ 6.2 · 強み
ボディ 2.6 · 軽やか
アロマ 2.8 · 穏やか
苦味 4.1 · マイルド
2データで読み解く Kanji Lalji
Taste Potential(味覚ポテンシャル)。 生豆を分光分析(FT-IR)し、「焙煎前の原料が備える味わいの潜在力」を0〜10で予測した指標です。
数値が高いほど、その方向の味わいが「現れる可能性が高い」ことを示します。そのポテンシャルを引き出すのが焙煎の役割です。
図1. Taste Potential プロファイル(0〜10)
図1. 6軸の味覚ポテンシャル。酸味(8.4)とフレーバー(7.1)が強みで、甘さ(6.2)も良好です。
ボディ(2.6)・アロマ(2.8)・苦味(4.1)は軽やかで、明るくクリーンなウォッシュトらしいプロファイルです。
化学成分。 同じ生豆に含まれる16種の成分を、タンザニア国内平均と比較しています(0〜1に正規化)。
下図は、「平均に対してどの程度多い/少ないか(%)」を差の大きい順に並べたもので、Taste Potentialがこの結果となった背景を示します。
図2. 化学成分:タンザニア平均との差(%)
図2. タンザニア平均に対する相対差。赤 = 平均より多い、
青 = 平均より少ない。糖類(グルコース・スクロース)、酸類(クエン酸・クロロゲン酸)、アミノ酸、ジテルペンが豊富で、明るい酸味・甘さ・複雑なフレーバーの土台となっています。
一方、トリゴネリン・多糖類・脂質・カフェインは少なく、アロマ・ボディ・苦味が軽やかな理由がデータにも表れています。
3成分から予測するフレーバー:どの香味が現れやすいか
Taste Potentialが「味わいの骨格」を示す指標だとすれば、ここでは「どのフレーバーノートが立ち上がるか」を見ていきます。
SCAフレーバーホイールを基準に、ナッツ・ココアと、果実系のベリー・シトラス・ドライフルーツ・その他の果実の計6項目について、この豆で各香味が現れる確率(%)を予測しています。
数値は「香味の強度」ではなく、「その香味が観察される確率」です。ここでは、この豆そのものから、どのフレーバーノートが現れやすいかを示しています。個別のフレーバーノート予測は方向性を捉えるための参考値です。明るいウォッシュトに見られるシトラスやフローラルは控えめに予測される場合があるため、実際のカップの明るさはTaste Potentialの酸味指標と併せてご覧ください。
図4. フレーバーノート別の予測確率(%):高い順
図4. この豆で各香味が現れると予測された確率を、高い順に並べています。
その他の果実、ココア、シトラスの順に予測され、ココアが相対的に明瞭です。
図3. 予測フレーバーマップ(この豆の香味ノート予測、%)
図3. この豆のフレーバーノート予測を一枚にまとめたマップです。予測された香味ノートは全体的に穏やかで、ココアが相対的に明瞭です。
シトラスの予測値は高くありませんが、化学データ上ではクエン酸と酸味が高く、実際のカップでは明るく現れる可能性があります。
要点。 個別のフレーバーノート予測は全体的に穏やかですが、この豆の本質的な魅力は、Taste Potentialが示す明るい酸味と複雑なフレーバーにあります。特定の一つの香味で定義するのではなく、
シトラスとフローラルを軸にした、クリーンでジューシーなカップを目指すほうが、この豆の個性を最もよく表現できます。
4数値をわかりやすく:6つの味覚指標
成分と味わいは、原因(成分)→ 結果(味わい)としてつながっています。6つの指標を一つずつ、わかりやすく解説します。
ポイント:核となるのは明るい酸味。 この豆は酸味とフレーバーが明瞭なため、浅めのロースト設計ほど個性を引き出しやすくなります。
深煎りにすると明るさとクリーンさが失われ、この豆の魅力が弱まります。
5個性を引き出す方法(ロースティング・抽出)
強みである明るい酸味・フレーバー・甘さを明確に引き出し、軽めのボディとアロマをロースティングと抽出で補うことがポイントです。以下の4項目を順にご覧ください。
1ページ要約
推奨アプローチ
- ライト〜ミディアムで:明るい酸味・甘さ・クリーンさを生かす。
- メイラード区間を確保:穏やかなアロマとボディを補う。
- フィルター/プアオーバーで:ジューシーでクリーンなカップを強調する。
留意点
- 深煎りにしすぎると、明るさ・クリーンさ・酸味が失われ、この豆の個性が埋もれます。
- 重厚なボディはこの豆の主な強みではありません。軽やかなクリーンカップを目指すことで、魅力がより際立ちます。
- エスプレッソで濃度を高く抽出する場合は、酸味が鋭く出る可能性があるため、レシピを調整してください。